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高速無線PANに関する研究

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【研究背景】
 現在,無線LANによる無線伝送などが広く利用されていますが,近年では高精度動画をはじめとしてコンテンツの情報量が著しく増加しています.そこで本研究室では,このような情報量の増加に十分に対応するために,無線LANの伝送速度を遥かに上回る近距離超高速無線通信に関する研究に着手しています.ここでは,通信範囲を個人のデスク周り(Wireless Personal Area Network:無線PAN)を想定し,PC(アクセスポイント:AP)からスマートフォンやタブレットなどの端末への高速通信の可能性について研究しています.
【研究内容】
 本研究では超広帯域インパルス無線方式(UWB-IR)を用いて高速通信を実現しますが,UWB-IRの法規制の関係から送信出力が極めて小さいため(一般的な情報機器の雑音レベル以下),信号対雑音電力比(SN比)が低くなり,通信特性が劣化します. SN比の改善手法の一つに受信機内(ここでは端末)でマルチパス信号の電力を集めて合成するRAKE合成法がありますが,合成処理をするための複雑な信号処理回路が端末に必要となり,小型化や低消費電力化の観点から現実的ではありません.従って,本研究では端末側に特別な信号処理回路を付加することなく,AP側の信号処理によってRAKE合成のようにSN比を改善する技術について実験的に研究しています(図1,図2).
 図3に実験結果の一例として図1の環境(AP-端末)における受信電力遅延プロファイル(遅延時間に対するマルチパスの受信電力分布)を示します.ここで,図3(a)は上述した信号処理を行っていない場合,図3(b)はAP側での信号処理後の結果を表しており,端末側で信号処理することなく受信信号電力が大きく改善していることが視認できます.

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図1 実験風景

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1.1_2-2

図2 計測系と測定環境

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1.1_3-2
(a)信号処理前 (b)信号処理後

図3 実験で得られた遅延プロファイル(AP-端末)