梶原研究室

ご挨拶

 新型コロナウイルス禍での2回目の夏もそろそろ終わろうとしています。また明らかに世界的な気候変動に伴い,猛暑や豪雨のリスクは年々高くなり,そして春と秋の季節がなくなりつつあるのは寂しい限りです。少子高齢化と地方の過疎化,現実味を帯びる財政破綻,そして出口が見えない新型コロナウイルス感染拡大など国内の危機的な状況は変わらず,また海外に目を向けると権威主義国家が台頭し,世界の貧富の格差は広がるばかりで世界の先行き不透明感が益々強まっています。

 さて私達の研究室では,これまで社会実装化に向けて電波応用システムの研究開発を進めてきました。その中で注力しているのが,(1)車載用ミリ波レーダ技術と(2)生体情報センシング技術です。

 (1)車載用ミリ波レーダ技術
 自動運転や安全運転支援の分野では,走行環境認識用の79GHz帯レーダだけでなく車室内監視用のミリ波レーダセンサを含め,ミリ波レーダの役割はさらに大きくなっていくと思います。その中で車載レーダ間干渉にロバストなレーダ方式の研究や自車位置推定技術,車室内モニタリングシステム1)の研究開発を行っています。

 (2)生体情報センシング技術
 健康寿命の延伸を目的に,浴室や寝室などでの高齢者の見守りシステムの研究,そして忙しい人や高齢者等のヘルスケアを目的とした新しいワイヤレス生体情報センシング技術(呼吸,心拍,血圧)を研究開発しています。しかし,日々の測定機器の装着や操作,測定などは少なからず負担を強いるもので,特に忙しい人や高齢者などにとって時間的拘束や機器の操作に対してストレスを感じる人も少なくありません。そこで,以上の課題を解決するために日常生活の中でさりげなく心拍(RR間隔),連続血圧を非接触で計測する技術を確立しました2)。

 今後は,実証実験を進め,実用化に向けて邁進し,社会保障費の削減や健康寿命の延伸に寄与したいと思います。

2021年9月1日